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2001年中国演奏旅行(日本ユンゲオーケストラ)



参加者の感想

谷内正裕(クラリネットパートトップ)

今回の演奏旅行ではロシア、ノルウェー、日本、中国の曲を演奏している。 そのうちプログラムに載っているのはアジア以外の曲、ロシアとノルウェーの曲。 作曲者チャイコフスキーとグリーグは共にドイツの音楽形式をとり入れながらも、 母国の貴重な民謡の数々を題材としたテーマを多数用い、 その地方文化の世界観をオーケストラを通じて伝えている。

音楽を演奏することで感情等の情報を表現し伝達するとすれば、 我々アジア人の日本人が、演奏されて聞いて感じ取る曲の二次的な世界観を、 別のアジア人ではあるが、演奏者とは違う世界観を持った中国人に演奏して伝えることは、 非常に難易度の高い内容であったといえるだろう。

オーケストラホールという空間で演奏することで、 われわれは観客と同じレベルの空間にいると、普段日本で演奏するときには感じる。 これは日本人はオーケストラを良く理解しているからだけではなく、 演奏者と観客が基本的に同じ文化の枠の中にいる人だから生まれる。 ところが、今回は明らかに異なる空間である。

観客は普段から聞きなれているわけではない音楽に対し、 拍手の場所などどのように振舞えば良いのか、わからない個所もあっただろう。 また、オーケストラホールという兵空間の慣れなど違いからも、 今回の演奏会において、楽章の途中や楽章ごとに拍手が会ったことに対し、 我々は非常に奇妙に感じた。

ところが、必ずしもクラシックコンサートの堅苦しいマナーについて言及する必要はなく、 あくまでも、異なる文化の中に入り込んだクラシックコンサートという文化であるため、 中国の文化の中に存在する。

拍手などの反応は本来感銘を受けた場合、どんな状況でも共通に起こるものである。 楽章の途中に拍手があったときなどは、そこで曲が終わったと感じたのかもしれない。 でも、もしかしたら、その個所までの内容が拍手をするという反応に当てはまる 何らかの感動を観客に与えられたのかもしれない。 どちらにしろ、我々演奏者にとっては意外に感じた点であり、 ここに文化の差異や共通点を見出すことによって、 演奏者は観客と何らかの会話ができたのではないかを私は思っている。

アンコールでは日本の曲を二曲、中国の曲を一曲演奏した。 日本の曲を演奏するときの我々の感情も明らかにそれまでと異なっていたが、 中国の演奏が終わった後の観客の反応は本来のメインの曲をはるかに超えていた。 この状況は、相手に対して様々な言語で話しかけ、 ついに通じる言語が見つかった、というのに似た喜びを私は感じた。 つまり、それまでの演奏は自分の母語でもない言葉を用いて、 何とかして意思疎通したいと努力し、またそれを聞く側も理解しようと努力している、 外から見れば、滑稽なジェスチャーのやりあいのように見える状態だったのかもしれない。 筆談で通じると思った漢字文化とはまた異なった日本と中国を見れたのではないか。

実際に我々の演奏を聞いてどのように感じたのだろうか。 また今回は途中で参加したこともあって、我々につけてもらうという形だったが、 共に演奏することになった中国の学生に、 オーケストラという文化、ロシアやノルウェーの文化を、 違った文化を持った立場からの意見を交換し合う機会があれば、 一味違った演奏になったかもしれない。

音楽の伝え方について、今まで同一文化内による固定的に存在した枠を超え、 わかりやすい文章を書く努力があるように、 わかりやすい演奏をする努力をするという成長を私は感じることができ、 とても有意義な演奏旅行であった。

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